平成サバイブ 第一〇話「モテ期1」

平成サバイブ

「もしもし、ひらめくん? 聞いてる?」
「うん。聞いてるよ」

「今週の金曜日、分かった? 待ってるからね。じゃあね」

恭子から着信をひらめは不機嫌そうに切った。

(また同期会って・・・この前、集まったばっかりじゃん。面倒くさい・・・)

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「「お疲れっ!」」

入社して初めての大型連休明け。同期の中でも『仕事ができる』アピールをする奴が現れる。

そして反対に、社会の荒波に揉まれ、仕事がツラいとボヤく『ドロップアウト予備軍』も生まれる。

ひらめは、自分に期待もしていないし、会社から期待もされていないので、どちらにも属していない。

ただ、仕事をしているアピールをする人間が嫌でなんとなく避ける。必然的に下座の『ドロップアウト予備軍』と飲むことになる。

そして、仕事をしている人間たちは上座から下座の人間をさげすみ、上から目線で話してくる。

残酷ざんこくな社会だけど、それが現実だ。こんな新人でも、弱肉強食という資本主義のルールが適用される。

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「お疲れ。またね!」「じゃあね!」

前回の帰宅組より人数が増え、参加者の半数以上が駅に向かう。

電車を待っているとひらめのケータイに真央からショートメールが入った。

『新宿、南口、帰るなよ』

直ぐに返信する。

『東南口、下の喫煙所にいるよ』

電車に乗ると酔ったさやかが、小動物のようにひらめの腕に絡みついてくる。ひらめは、心臓がバクバクしていた。だけど、そんな気持ちを悟られないように冷静を装いながら、さやかとの会話を続けていた。

「ひらめくん。お楽しみのところ申し訳ない。さやか、ちょっとごめんね」

デリカシーのカケラもない恭子が、至福のひとときに割り込んできた。

「彼女いるの?」
「いないよ」

「実は、何人もいたりして」
「何が言いたい?」

ひらめは恭子の質問の意味が分からず、恭子をにらんだ。

「彼女ができると落ち着くのか、このままなのか、女子からしたら不安じゃん?」
「彼女がいても、いなくても変わらない」

「その彼女ってヤバくない? 普通は、無理だよ。彼氏が他の女子とイチャついてるんだよ? あり得ないじゃん?」
「待て待て。いつ俺が女子とイチャついてた?」

「えっ? いま」

恭子は、この間も一度も離れることがないダッコちゃん人形状態のさやかに視線を送る。

「まあ、いいや・・・。彼女作らないの?」
「そんなの成り行きでしょ? 作るといって作れるもんでもないし」

「なんかムカつく言い方・・・」
「はははは。実際問題、しばらく、できないと思う。金ないし・・・」

「一人暮らしだっけ?」
「うん。さらに『ひらめ、クルマを買う』みたいな」

「マジで言ってる? バカじゃん」

「ひらめくん、クルマ買ったの?」
「まだ買ってないけど、買うつもり。中古だけどね」

「買ったら、乗せてよ」
「うん。いいよ。連絡する。ケータイ教えて」

ひらめとさやかのやり取りをニヤニヤしながら恭子が見ている。

ひらめが、恭子の視線に気づく。

「なに?」
「いや、女子のケータイ番号を聞き出すの上手いなあと思って、見てただけ」

何かと恭子は、ひらめの行動をチェックしている気がする。キレイな見た目とは違い、中身は相当なおばちゃんキャラで、そのギャップが面白い。

ひらめは、新宿駅で女子たちと別れ、東南口の喫煙所に向かう。

直ぐに真央がやってきた。

「行こうか」
「うん」

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