平成サバイブ 第二八話「好きなのに、好きだけど・・・煮え切らない」

平成サバイブ

ロードスターを運転しながら、ひらめは真央に話しかける。

「ちょっと話していい?」
「うん」

「さっきさ、恭子ちゃんの乳首、見ちゃったんだよね」
「・・・このタイミングで何の告白?」

「いやいや違くて。違くはないんだけど、なんか興奮しなかった・・・」
「・・・」

「俺、恭子ちゃん好きなんだけど、おっぱい見ても興奮しなかった・・・」
「・・・うん」

「なんか、今日の朝も、昨日の夜も、すごく真央さんのことを考えてた。で、結論はまだ出ないんだけど、恭子ちゃんの乳首を見て、ふと思った。真央さんの乳首だったら興奮する」
「・・・」

「ごめん。何言ってるか分かんないよね・・・。帰り間際、恭子ちゃんと話してたじゃん?」
「・・・うん」

「俺は大人になる必要があるとか、落ち着いた男になれって話だったんだけど・・・。それは真央さんと一緒にいるために必要なことだって言われた」
「・・・うん」

「俺は真央さんと一緒にいたい。真央さんに嫌われたくない。だけど、よく分からなくて、真央さんと一緒にいたい・・・けど、なんか自信がない」
「・・・うん」

「・・・」

「終わり?」
「うん。終わり」

「・・・恭子の乳首のくだり必要だった?」
「いや、ちょっと衝撃的だったから・・・」
「・・・」

「真央もいい?」
「うん」

「本当のことをいうと昨日、全然寝れなくて、ずっとひらめのことを考えてた。ひらめは『腹黒くて汚くてエロい人間だ』って強がっているけど、本当は素直で優しくて、いいヒトだと思う」
「・・・」

「汚い部分を隠して、誠実なフリをして近寄ってくる人間より、ひらめみたく欲望を丸出して近寄ってくる人間の方が誠実な気がする」
「・・・」

「本当は昨日、襲われても仕方がないと思っていたんだ・・・。真央のミスだし、しょうがないと思った・・・。でも、ひらめは真央の気持ちをんでくれた。本当に大切に思ってくれた。少なくとも真央はそう思った」
「・・・」

「真央もひらめと一緒にいたい」
「うん・・・」

ひらめは、真央の言葉を噛み締める。真央が、ひらめのことを思ってくれているのはヒシヒシと伝わってくる。だけど、自分の気持ちが整理できない。

「・・・この流れだと、俺から告白するよね。普通」
「・・・だと思う」

「真央さんはどうしたい?」
「それを真央に聞くか? ひらめは、どうしたい?」

「俺は、正直言ってよく分からない。真央さんと一緒にいたい・・・けど、俺は誰かと本音で付き合うのが怖い・・・。本当の俺は、すごく弱くて、意気地なしで、ガキっぽくて、本当、自分でも嫌になる・・・」
「真央を信じられない?」

「・・・」
「真央は大丈夫。ひらめがどんなに弱くても、子供っぽくても、全部受け止める。真央はひらめを信じてるし、ひらめにも信じて欲しい」
「うん、分かった・・・」

助手席の真央が、いつもより近く感じる。

「・・・」

無言のまま、真央は流れる景色を見ている。ひらめも無言でロードスターを運転する。いつもは、気まずいと感じる沈黙も、真央と一緒にいると居心地の良さを感じた。

「真央さん、俺は真央さんと一緒にいたい。俺と付き合って欲しい」
「うん」

「良かった・・・。今日すぐ帰る?」
「夜までに帰れば、大丈夫」

「ちょっと、寄り道していい?」
「うん」

ひらめは、新宿へ行き先を変えた。

「どこに向かってる?」
「入れるホテルを探してる・・・」
「・・・」

真央は、恥ずかしそうにうつむく。

「嘘だよ。とりあえず、暑いからどっかで涼もうよ」
「・・・」

「真央さん、いま期待したでしょ?」
「期待じゃないけど、覚悟はした・・・。いいよ。ひらめがしたいなら」

「うん、じゃいい。今日はしなくていい」
「えっ?」

「俺は、いつでもしたい。でも、真央さんがしたいときでいい。したくないのにやる必要はない・・・と思う」
「・・・」

「真央さんが、本気で抱かれたいと思える男になるまでは我慢する」
「・・・」

「濡れた?」
「バカ!」

「あはははは。まだダメか・・・」
「・・・」

「オープンだと暑いし、高島屋に止めて、ちょっとブラブラしようか」
「うん」

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