平成サバイブ 第二五話「TDL2」

平成サバイブ

ひらめは、真央の『恋人ごっこ』に付き合うことにした。

「よし。彼氏になる前にタバコ吸ってくる」
「真央もトイレに行っておく」
「うん」

真央と別れた後、ひらめはキャストに声を掛け、真央のためのバースデーシールをもらう。

二人で腕を組みながらランド内に入った。

ひらめは、もらっておいたバースデーシールを真央のジーンズの左腿に貼る。

「何? 変態っ!」
「待て待て。恋人に『変態』はないだろ?」

「冗談抜きに襲われるのかと思った・・・」
「アホかっ! 夢の国だぞ」

「いや、ひらめだし・・・」
「なんだよ。それ」

「ありがと」
「うん」

「ねえ、ひらめは右回り派? 左回り派?」
「俺は右かな? スペースマウンテン、スプラッシュマウンテン、夜のビッグサンダーマウンテンからのカリブの海賊」

「ほほう、夜のビッグサンダーマウンテンを知っているのかい? バースデーシールといい、お主、なかなかの腕前と見た」
「うむ。お主も詳しそうじゃな・・・。どこから行く?」

「ハニーハントのファストパスを取ってから、スペースマウンテン・・・でどう?」
「OK。行こう」

平日なのに『夢の国』はそれなりに混んでいた。
スペースマウンテンも、そこそこ待ち時間があった。
ひらめは、繋いだ真央と手を握りしめ、順番を待つ。

「すごく気になっていたことがあるんだけど、聞いていい?」
「うん。性癖でも何でも聞いてくれ・・・」

「最初から『真央さん』って呼んでるでしょ?」
「呼んでるねえ」

「なんで?」

「苗字、知らなかったから?」

「違う違う。他の娘は『さやかちゃん』とか『恭子ちゃん』って呼んでるのに真央だけ『さん』なのかってこと」

「真央、マナー研修で教わっただろ? 社会人として『さん』付けが普通なんだよ。いつまでも学生気分でいるんじゃないよ」
「お前がいうな。ねえ、なんで『真央さん』なの?」

「なんだろうな・・・。苦手な娘だから距離をとりたかったのかなあ」

「今でも『真央さん』って呼ぶでしょ?」

「いや、真央のことが苦手なんだよ。基本的に。俺は誰とも深い関係になりたくない。誰かと仲良くなるのが怖いんだよ」

「なんでそんなに他人から逃げるの?」
「逃げてる・・・。まあ逃げてるね・・・。俺は誰も信じないし、信じられたくない。なんか、重いじゃん。そういうの・・・」

「真央はひらめを信じてるし、ひらめにも信じて欲しい」

「うん。分かってる。真央がいい奴なのも。俺は真央を信じてるよ。でも、俺を信じて欲しくない・・・。なんかあるじゃん。そんなの?」
「・・・」

「俺が裏切られるは別に気にしないんだけど、真央から『ひらめに裏切られた・・・』なんて思われたくないんだよ。俺は裏切らないよ。裏切らないけど、勘違いで裏切られたって感じるときがあるでしょ。そういうのが嫌なんだ」

「大丈夫だよ・・・きっと大丈夫」

「真央ちゃん。ありがと」
「バカにしてる?」

「あはははは。ちょっとバカにした」
「もう! 真剣に話してたのに・・・」

ディズニーランドは恋人との方が楽しい。

周りの人間はみんな浮かれている。だから、普段恥ずかしくて、できないこともできるはずだ。

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