ふとした瞬間に、女性の香りに包まれることがあります。

至極、幸せな瞬間・・・
香水のように計算された匂いでもなく、シャンプーや柔軟剤の清潔感でもない、もっと自然で生々しい香り・・・。
体温や生活の余韻が混ざり合い、鼻先に届いた瞬間、心がふわっと、ほどけるような気持ちになります。幸福感とともに、ほんの少しドキドキする官能的な感覚が湧いてきます。

やめて・・・
帰宅ラッシュの電車に立っていると、周りの人々と空気が押し合うように混ざり合います。金属の匂いや多くの人に包まれ、疲れを感じていたとき、隣に立った女性からふわりと香る匂いに気づきました。
香水やシャンプーの匂いではなく、もっと柔らかく、自然な温かさを帯びた香りです。その香りが鼻先に届くと、無意識に深呼吸をしてしまい、思わず意識を奪われてしまいました。

変態っ!
肩が触れそうで触れない距離、香りと体温が混ざる空気。目には見えないのに、確かにその距離が変わったように感じます。香りには、そんな不思議な力があるのだと改めて思います。

香りの破壊力・・・
街を歩いていると、ふとすれ違った女性から漂ってくる香りに、思わず立ち止まってしまうことがあります。

そんなことある?
ある日の帰り道、夕暮れの歩道で自分の前を歩く女性とすれ違いました。その瞬間、柔らかく、ほんのり甘い香りが鼻先をかすめ、心がふわりと浮きました。
一瞬のことなのに、香りは脳裏に刻まれ、身体の奥が少し熱くなるのを感じました。振り返れば、もう彼女の姿は遠くに消えているのに、その香りだけは残り、ほんの一瞬だけ世界が鮮やかに変わったような気がしたのです。
すれ違いざまの香りは、触れ合うこともなく、言葉も交わさず、それでも心を揺さぶる力があります。日常の中で、こんな小さな体験が、ふとした幸福感や官能的な高揚を運んでくれるのです。

思い出してしまう・・・
居酒屋での飲み会では、距離が自然に近くなります。
長机に並んで座り、隣の人と肘が触れそうな距離で盃を重ねていると、ふと女性が身を寄せてきました。
「ねえ、聞いてる?」と笑いながら肩を寄せてくるその瞬間、鼻先に届いたのは、料理やお酒の匂いではなく、彼女の柔らかい香りでした。ほんの少し湿った髪の香りや、服に染み込んだ生活の匂いが混ざり合い、五感の奥まで届きます。

惚れてしまう・・・
グラスがぶつかる音や笑い声、氷が触れる音すらも背景になり、香りは鮮やかに際立ちます。その香りに意識を集中させると、ただの同席者である彼女が、一瞬で女性として立ち現れるように感じます。

キモい・・・
香りは、人の仮面や肩書きを剥ぎ取り、自然なその人自身を伝えてくれます。飲み会のざわめきの中でも、香りは静かに、しかし確実に心を揺さぶってくるのです。
香りは、今だけでなく過去も呼び覚ますチカラがあります。遠い昔の記憶も、ふとした香りで鮮明に思い出されます。
香りは時間を超えて甘美さと切なさを運び、ふとした瞬間に再び心を揺さぶります。だからこそ、隣にいる女性や目の前の香りに、自然と意識が引き寄せられるのです。

思い出の香り・・・
女性の香りには、理屈では語れない魅力があります。
視線を奪うより静かで、言葉よりも雄弁に存在を伝えてきます。香りに触れると、無意識に相手の存在を意識してしまうのは、香りが持つ魔法のようなチカラかもしれません。
香りは、恋心や欲望と結びつくと同時に、安心感や幸福感も運んでくれます。矛盾する二つの感情が、香りの中では自然に共存しているのです。
女性の香りに包まれるのは、ほんの一瞬です。ですが、その短い瞬間で心がほどけ、世界が少しだけ鮮やかに見えることがあります。

幸せだ・・・
幸せは、派手な出来事や贅沢な体験の中にあるのではありません。むしろ、掴めないほど儚い一瞬にこそ潜んでいるのだと思います。香りが消えた後も、余韻は心に残ります。
皆さんも、ふとした瞬間に女性の香りに包まれ、心が温かくなった経験はありませんか?
その香りは、きっとあなたの心に残る小さな幸せの証です。
(了)
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