「変わりたいのに変われない」僕が選んだ生き方とは

心の中の話

人間というものは、簡単には変われない。変わろうとすれば、膨大ぼうだいな時間と痛みを覚悟しなければならない。

ひらめ
ひらめ

簡単ではない

だから、頭では「変わらなければ」とわかっていても、体は動かない。

まお
まお

難しいよね・・・

朝になると「今日こそ」と決意しても、夜にはまた元の自分に戻っている。変わりたい気持ちは胸の奥に確かにあるのに、現実の自分はその理想に追いつかない。焦燥しょうそうと自己嫌悪が、静かに、しかし確実に胸を締めつける。

もちろん、今のままで良いとは思っていない。変わりたい。変わりたい気持ちは確かにある。

誰もがうらやむような権力を手にしたい。小国の国家予算を超えるような莫大ばくだいな資産を得たい・・・胸の奥には、そんな大きな夢や野望が渦巻いている。

まお
まお

君の欲望の大きさ・・・

だが同時に、その夢を現実にするためには、自分の弱さや怠惰たいだ、臆病さに向き合わなければならない。想像するだけで、足はすくみ、心は重く沈む。

ひらめ
ひらめ

強くなれない・・・

世の中には、耳障りの良い言葉を投げかける人がいる。

「小さな一歩から始めればいい」
「誰でも変われる」と。

あるいは、自分を変えて幸せになった成功体験を嬉しそうに語る人もいる。その笑顔や体験談は、まぶしく、心を刺激する。

しかし、現実の僕は、これまでの人生で築かれた人格や習慣を簡単に書き換えられるほど軽くはない。

まお
まお

えつ?!

何十年も染みついた思考や感情のクセは、努力だけでは消えない。だから、耳障りの良い言葉や他人の成功体験は、むしろ胸の奥に違和感や自己嫌悪を残す。

振り返れば、苦くて痛かった経験もあった。共に悩み、支え合った友も、僕の尻を叩き励ましてくれた仲間もいた。中途半端な僕を叱ってくれた女子もいた。みんな、僕を信じ、期待し、関わってくれた。

でも、変われない自分のせいで、結果としてその思いに応えられなかった。あの笑い合った時間も、励まし合った瞬間も、今の自分に照らせば遠い記憶のように色褪いろあせる。胸の奥には、孤独と罪悪感がひりひりと残る。

ひらめ
ひらめ

皆に申し訳ない・・・

変わりたい。もっと大きくなりたい。だが現実の自分はまだ弱く、臆病で、怠惰だ。変われない自分を抱えたまま生きることは、痛みであり、屈辱くつじょくでもある。

だから、僕は決めた。変われない自分を隠し、表向きの自分を演じることを。

まお
まお

どういうこと?

演じる自分は、笑顔を作り、強そうに見せ、冷静で自信があるように振る舞う。

ひらめ
ひらめ

理想の僕を演じる

頭ではわかっている。誰かに裏切られて傷つくのは、相手を信用してしまうからだと。

理屈では僕も相手を利用すれば、生き延びることもできる。しかし、心はそれを許さない。仲間であれば助けたいし、甘えたい。

だからこそ、僕は他人とは距離を置く。表面上の付き合いで済ませる。傷つかないために、自分を守るために、孤独を選ぶ。

まお
まお

強くなろ・・・

変われない自分を抱えたまま、僕は今日も周囲が求める自分を演じる。演じることで、傷つかずに済み、社会の中で立ち回れる。

それは自己欺瞞じこぎまんではなく、生き延びるための覚悟だ。仮面の下には、小さな希望が震えている。変わりたいという思いも、夢も、まだ消えたわけではない。その希望は誰にも見せられないが、確かに胸の奥で息をしている。

ひらめ
ひらめ

自分を大切に・・・

僕は変われない。だからこそ、演じることを選ぶ。弱さを隠し、他人の期待に応え、今日という日をなんとかやり過ごす。その仮面の下で、小さな希望が静かに息をしている――それが、僕の今の生き方なのだ。

(了)

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