なぜ人妻は好まれるのか？ 科学・社会・歴史から読み解く欲望

既婚者女性には、若くピチピチした勢いだけの小娘とは違い、妖艶（ようえん）で憂いを伴った日本人好みの艶（あで）やかさがある。

アダルトビデオのジャンルの中で「人妻」が常に人気を集めるのは、単なる男の気まぐれではない。これは人間の本能、社会の仕組み、文化の歴史が積み重なった結果であり、言い訳どころか正当な帰結（きけつ）である。

何よりも、言葉の響きだけでエロい･･･。

アダルトビデオ産業において「人妻」というジャンルが長年にわたって支持され続けているのは、単なる流行や個人的な嗜好（しこう）にとどまらない。

これは、人間の欲望の構造、社会制度、文化、さらには産業の合理性が複雑に絡み合った結果であり、いわば人間社会に普遍的に備わった「必然」なのだ。その理由を順を追って見ていこう。

本能に刻まれた「必然」

人間を動物として捉（とら）える進化心理学の観点から見ると、男性は繁殖能力が証明された女性に本能的に惹（ひ）かれる傾向がある。

妊娠や出産を経験した人妻は、その能力がすでに保証された存在だ。

さらに、脳は「禁止されたもの」や「手に入りにくいもの」に強く反応し、ドーパミンを大量に分泌する。人妻はすでに他者のものであるため、その禁忌性（きんきせい）が欲望を刺激するのだ。

これは個人の倒錯（とうさく）ではなく、脳が正しく機能している証拠に他ならない。

社会と文化が紡ぐ「必然」

社会学的に見ると、結婚制度は歴史的に「所有」の仕組みとして機能してきた。そのため、他者の妻と関係を持つことは、所有権を侵（おか）す行為であり、そこに背徳的な魅力が付与された。この「禁じられた行為」に含まれる甘美な刺激こそが、人間の欲望を強く掻（か）き立てる。

また、人妻という存在は、古くから文学や絵画といった文化の中で繰り返し描かれてきた。日本の『源氏物語』や江戸時代の浮世絵、西洋の聖書に登場する「姦淫（かんいん）」の物語に至（いた）るまで、人妻は常に欲望の対象であり、物語を成立させるための重要なキャラクターだった。

現代のAVにおける人妻人気は、この文化的系譜の延長線上にある。

心理と産業が生み出す「必然」

心理面でも、人妻は特別な存在だ。未婚の女性には若さがあるが、人妻には、生活感や母性の気配が漂う「成熟」という別の魅力がある。

男性は人妻に、性的な欲望だけでなく「安心したい」「受け入れられたい」という安らぎの欲求も重ねる。人妻は、この相反する二つの欲求を同時に満たす存在なのだ。

さらに、アダルトビデオ産業にとっても、人妻ジャンルは極めて合理的だ。キャスティングの幅が広く「隣の奥さん」「ママ友」といった設定は視聴者にとって理解しやすく、他の人気ジャンルとも組み合わせやすいので、色々なエロいシチュエーションが用意できる。

きっと、制作側にとっては安定した需要が見込める「定番商品」であり、市場が供給を続けるのは、人間の欲望の構造が変わらないからに他ならないのではないだろうか。

まとめ：人妻に惹かれる理由

これらの理由から、人妻への嗜好は、生物学的、社会的、文化的、心理的、そして産業的な多方面から正当化される。

それは「一部の男の倒錯」などと矮小化（わいしょうか）されるべきものではなく、むしろ人間が人間である限り必然的に生まれる嗜好であり、歴史と文化が保証した欲望の鏡だと言える。

まとめると、人妻という存在が好まれる理由は、以上の通り多層的である。

つまり、僕、個人的な嗜好には留まらず、全男性が惹かれる存在･･･人妻とは、そんな稀有（けう）な魅力を内包しているのである。

これほど多方面から正当化できる嗜好が、他にあるだろうか。

人妻は単なる性的ファンタジーではない。それは人類の歴史が刻み込んだ欲望の鏡であり、文化と社会が保証した物語装置である。

ゆえに人妻ものがエロ市場から消えることはない。そして、人妻好きであることに言い訳は不要である。それは人間の自然なあり方なのだ。

これは個人の趣味の告白であると同時に、人類の欲望の正当な継承者としての自覚の表明なのである。

ちなみに、僕は人妻という言葉の響きが大好きである。

（了）