「無駄話は仕事の生産性を下げる」というのは欺瞞であることを証明する

コラムという名の雑記

僕はどちらかというと効率厨で非効率なことが嫌いである。特に仕事に関しては、効率を求める。論理的に納得できないことは非効率の極みであり、そんな無駄は極力排他する。効率厨であるから、一見、非効率に見えることでも、論理的に考えると最短ルートであることも知っているのだ。

例えば『無駄話』である。仕事というか、現代の社会活動は必ず他人との関わりが生まれるのものであり、いくら「ビジネスライクな関係だ」と言いつつも、コミュニケーションは大切だ。同じ発言をしても、好意を抱く人とそうじゃない人では受ける印象が異なる。つまり、少しでも相手に気に入られ、何を話しても許してもらえる状態まで、関係性を高めることで、後々訪れる面倒なことを避けることができる。というか、ただ単に、無駄話が好きというのもあるが、お互いの親密度を深めるためには無駄話が必要なのだ。一見、無駄で非効率な会話でも、実は仕事をする上では、とても大切なのである。

伝える技術を突き詰めていくと、頭の中に持っているイメージを共有することである。指示を出すとき、報告をするとき、連絡をするとき、相談をするとき・・・自分の考えを簡潔かんけつにまとめ、相手に理解をさせることだ。そのためには、普段のコミュニケーションでお互いの価値観をすり合わせ、どのレベルで話をすれば伝わるかを見極める必要があるのだ。例えば、一を伝えれば、一〇を知るタイプなのか、想像力がとぼしく、具体的に伝えないと伝わらないのか・・・相手の力量を知っていれば、効率よく伝えることができる。

そもそも、一人で仕事が完結するなんてことはなく、必ず他人との関わりが生まれる。そして、仕事の最大のボトルネックは、意思疎通いしそつうが図れないことだ。さらに、人間関係がギクシャクするのも、うまくコミュニケーションが取れていないためだ。一見、無駄に見える『会話』を行うことで、うまく指示が伝わらない、情報が共有できないなど、後々、問題になるリスクを排他することができる。

よく「無駄話ばかりしてないで手を動かせ」などと表面的な部分だけを観察し、仕事中の会話をシャットアウトする効率厨がいるが、大抵の場合、他人から嫌われている。嫌われているから、何を言っても伝わらないし、そもそも、一緒に仕事をしたくないと思われているのだ。そして、指示は伝わらないし、情報共有もできず、情報が錯綜さくそうし、そんなエセ効率厨の周りは、カオスと化すのである。相手が聞く気がない状態では、何を伝えても伝わらない。嫌われはじめると発言をすればするだけ、嫌われるという『負のスパイラル』におちいるのだ。

一見、非効率に思える『会話』で親密度を上げることにより、相手との親密度を上げ、円滑にコミュニケーションが取れるようになる。さらに、無駄話をすることで、相手の理解度を測ることができ、イメージの共有がしやすくなり、効率的に話を伝えることができる。

たまに「女子は無駄話が多く、非生産的だ」などと性的差別を堂々と公言するやからがいるが、僕を含め、無駄話に話を咲かせる人間が、生産性が低いと言うことはない。お互いにサポートをしつつ「困ったらお互い様」という慈愛じあいの精神で、効率よく仕事を進めているのだ。一人でできる仕事というのは限られていて、多くのサポートを受けた方が間違いなく、効率が良く仕事が進められる。

つまり、無駄話をすることは、一見非効率に見えるが、実はこの上なく効率的なのである。

加えて、無駄話もせず、黙々と仕事をこなすような職場では、お互いが疑心暗鬼ぎしんあんきになり、雰囲気がどんどん悪くなり、生産性が下がる。無駄話でもしながら、楽しんで作業をする方が精神的なストレスが軽減され、健全な職場を維持することができるのだ。無駄話で親密度を上げ、お互いがサポートし合う仲になれば、多少のストレスを与えられても、耐えうる集団になる。人間は一人で考えているから、悩み病んでしまうのだ。

そして、無駄話をして結束が強くなった集団というのは、生産性が上がる。仲間が増えれば、複利効果が生まれ、雪だるま式に生産性が上がるのだ。複利効果というのは「元本だけでなく、利子が利子を生む」という考え方のことである。元々は、利息の計算方法だが、この考え方は、仕事の生産性もも同じである。「殺伐さつばつとした職場で働くより、雰囲気が良い仲間と仕事をしたい」という人間が集まり、莫大な利益を生むようになるのだ。

個人で一〇〇万円を稼ぐのと、五人で五〇〇万円を稼ぐのは同じように見えるが、長期的に見ると後者の方がリスクが少ない。人数が多ければ多いほど、リスクは分散できるのである。さらに、人数が増えれば、生産性を上げるためのアイデアも多く生まれる。つまり、利益が大きくなる確率も高いのである。

無駄話は必要悪なのである。

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