最近の車は、個性がないというか、安全性や快適性を求めて、似たようなスペックの車ばかりになった気がします。もちろん、それなりの金額を出せば、個性的を手に入れることはできます。
でも、何というか、移動の手段…僕の手が届くような車は、運転する楽しさみたいなものを失った感じがして、ときめきがありません。もちろん、最新の車が最高の車というのは理解しています。
そんなとき、ふと思い出したのが、1991年式のNAロードスター。過去に乗っていた車。正式名称はユーノスロードスター。当時のマツダが展開していたユーノス店で販売されていた車です。
不便で、古くて、荷物も積めない。なのになぜか「もう一度乗りたい」と思った。
実際に維持している僕の感想ですが、1991年式のNAロードスターは、今でも維持できます。誰でも少しの勇気さえあれば、乗ることは可能です。でも、快適性や合理性を求める人には向かない車だとは思う。
それでも僕が5年以上乗り続けているのは、この車にしかない「運転している感覚」があるから。
1991年式NAロードスターを買った理由

僕が手に入れたのは、2021年3月。3月に契約をして、納車したのはGW前でした。
購入価格は込み込みで120万円。幌とタイヤは新品に交換、全塗装済み。タイミングベルト交換済み、事故歴なし。走行距離19万キロ超えの個体。
同じ予算で、2000年代以降の中古車を選べば、ずっとまともな選択肢がある。それは分かっていました。
でも、僕が欲しかったのは、移動の道具ではなく、運転を楽しめる車だった。だから、合理性ではなく「これじゃなければ意味がない」という感覚に近い。
もちろん、他にも候補はいくつかありました。NDロードスターにも乗ったし、86にも試乗しました。でも、NAロードスターは何かが違いました。
丸目のヘッドライト、低い車高、エロい曲線…。30年以上前のデザインなのに、古さが欠点に見えなかった。今の車には少なくなった「機械なのに色気がある感じ」が、この車には残っていた。
「でも19万キロ超えの車に120万円は高くない?」と思う人もいると思う。僕も実際に悩みました。
決め手になったのは、走行距離ではなく、過去のオーナーたちが残したメンテナンス記録でした。
この個体を選んだのは、オイル交換から消耗品の交換まで、歴代オーナーのメンテナンス記録が揃っていました。
どんな整備をされてきたか、履歴がわかる車は、距離よりも信頼できる。
旧車において、走行距離よりも「どう乗られてきたか」の方が重要だと思っています。記録があるということは、大切にされてきたということ。
ぶっちゃけた話、予算もあったのですが…。
30年以上前の車を維持できるのか
維持はできる。でも、それなりの覚悟は必要だと思う。
5年間で実際に経験したトラブルは2件です。
助手席のパワーウインドウが突然動かなくなったのが最初で、修理費は4万円。
ラジエーターが壊れた時は、本気で焦りました。水温計がどんどん上がっていく。30年以上前の車なので、「ついに来たか…」という感覚がありました。冷却系を一式交換することになり、修理に18万円掛かりました。

5年間で発生したトラブル修理費
| 不具合箇所 | 修理費 | 備考 |
|---|---|---|
| 助手席パワーウインドウ | 約4万円 | 突然動かなくなった |
| ラジエーター+冷却系一式 | 約18万円 | 走行中に異常過熱 |
| エアコン(未修理) | 約20万円見込み | 費用がかかりすぎるため保留中 |
エアコンはいまも壊れたままです。修理見積もりが20万円近くと言われ、ずっと悩んでいます。
別に走ることには支障はないし、我慢すれば乗れる…。僕の場合、ほとんど屋根を開けて走っているので、エアコンがなくても…ないと死にそうになる時はあるけど、どうにか走れます。
部品はマツダがまだ供給しているので、入手に苦労したことはありません。さらに、そこそこ人気車種なので、色々と他社からも適合部品が出ています。
年間維持費(概算)
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| ガソリン代 | 約5万円 |
| メンテナンス(オイル交換など) | 約2万円 |
| 任意保険 | 約8万円 |
| 自動車税 | 約5万円 |
| 駐車場代 | 約24万円 |
| 車検(2年に1度) | 約20万円 / 2年 |
| 年換算の概算合計 | 約55万円 / 年 |
ぶっちゃけた話、維持費は高いと思います。でも、それ以上の価値を僕は感じています。家族からは、色々言われるけど…。
燃費は街乗りでリッター10km前後。高速ならもう少し伸びます。最近のハイブリッド車と比べると良くはないけど、趣味車として考えればそこまで悪いとは思っていません。
注意点がひとつあります。それは、車両保険に入れないということ。
旧車はそういうものらしいです。事故を起こしたらその車両分は自己負担になります。走るときの緊張感は、それなりにあります。
NAロードスターが今でも人気な理由
カタログ上の馬力は120psだったと思いますが、ぶっちゃけ、それほどのパワーは感じません。最新のファミリーカーと比べても、あまり変わりません。
でも、走り出した瞬間に笑顔になる。この車は「速さ」ではなく「体験」で走る車です。
重さが990kg。電子制御がほぼない。アクセルを踏んだだけ動き、ハンドルを切った角度だけ曲がる。機械と対話している感覚がずっとある。
最近の車は、車が先回りしてくれる。でもNAロードスターは、自分で運転しなければならない。
本当は、面倒なはずなのに、なぜか気持ちいい。
さらに、屋根を開けた瞬間の開放感は、今でも特別です。風の音、エンジンの音、周囲の空気。全部が近くなる。移動が、移動じゃなくなる。

正直、後悔したこと
後悔というほどではないけど「あ、困った…」と思うことは多々あります。
例えば、夏は暑い。エアコンがないのだから当然だとは思う。さらに、荷物はほぼ積めない。コンビニの袋ふたつで助手席が埋まる。シートのサポートが強くないし、ロードノイズも大きいから長距離運転は疲れる。
僕のロードスターは新品の幌に交換しているけど、車体の樹脂が硬くなり、強い雨が降るとポタポタと雨漏りはする。助手席の足元は結構、濡れているし、運転していると右肩が濡れる。30年以上前のオープンカーなので、そういうものだと思っている。
さらに、周囲に理解されないこともある。「なんで古い車に高いお金を」と言われる。説明するのも面倒だし、うまく伝えられる気もしないので、笑顔で誤魔化してる。これが結構、困る。
それでも、手放す気になりません。
なぜかと問われると、うまく伝えられる自信がありません。ただ、この車に乗っている時間は、余計なことを考えなくて済む。それだけで十分な気がしている。

40代・50代になってNAロードスターに乗る意味
効率だけで生活していると、人間は少しずつ削られていく気がします。少なくとも僕は、このユーノスロードスターを手に入れる前はそう思っていました。
仕事も、家事も、育児も、移動も、全部「最適化」していくうちに、何かが薄くなっていく感覚が、40代になってからはっきりしてきた感じがしました。
確かに、この車は不便です。全然、快適ではありません。でもその不便さの中に、感情というか、楽しみというか、走る喜びみたいなものがある。
暑いし、寒いし、うるさいし、遅いし、荷物が積めないし、なんか目立つし、普通に考えれば、良いことなんてないと思う。
僕がロードスターに乗る理由は、特にない。強いて言えば、みんな笑顔になることかもしれない。
乗ってる僕は当然だけど、助手席に乗せた人も、街で手を振ってくれる子どもも、ドライブですれ違ったロードスターのオーナーさんも、みんな笑顔になる。
1991年式のNAロードスターは、合理的な車ではありません。これは間違いない。
暑いし、うるさいし、雨漏りもする。不便なところを挙げれば、たぶんキリがないと思う。
それでも、エンジンを掛けるたびに「今日も乗れてよかった」と感じる。
ちょっとカッコつけると、ユーノスロードスターは、移動手段ではなく「人生の感覚」を取り戻すための車なのかもしれません。
誰にも分かってもらえなくていい。たぶん、好きなものなんて、本来そういうものなんだと思います。



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