40代になると、急に車選びが難しくなります。
というのも、20代の頃は「速い」とか「かっこいい」とか「モテそう」とか…車に求めるものが単純で、その欲望を満たすためだけで車種を決めて問題なかった。多少無理をしてでも、自分が欲しい車に乗れば良かったんです。
でも40代になると、そうはいきません。
家庭や仕事のこと、「いい歳なんだから」という世間体という強力な視線。もちろん、誰も気にしてないのかもしれないけど、なんか車選びにまで「正しさ」を求めるようになってしまいます。
ミニバンの方が便利。SUVは運転しやすい。燃費のいい車の方が…。そんなことばかり気にするようになる。
そうなると、なんというか、物欲が満たされません。もちろん、たくさん売れているんだから、みんなが求めている車というのは分かる。分かっているのに、心が動かない。
ネットで見ていても、試乗に行っても、全然、ワクワクしないんです。なんか「悪くはない」なんです。でも、良くはない…別に、スーパーカーに乗りたい訳ではなくて、一人でドライブに行きたいと思っているだけなのに、なんか行きたいと思えない車ばかり…。
そんな時、ふと思い出したのが、NAロードスターでした。
正式名称はユーノスロードスター。1990年代に発売された初代ロードスターです。軽量ボディと小さな車体、リトラクタブルライトが特徴で、現代のスポーツカーとは違う『アナログな運転感覚』が今でも人気を集めています。
古い。狭い。遅い。荷物も積めない…なのに、楽しい車…。
そして気づいたら、僕は40代でNAロードスターを買っていました。
なぜ中年男性はNAロードスターに惹かれるのか

現代の車に求められているのは、楽しさや速さではなく、快適性や安全性というのは理解しています。
僕らが青春を送った90年代、平成初期とは違います。あの頃は『車は男のステータス』なんて言われていたし、車に求めるのは「速さ」や「見栄」でした。少なくとも、カッコ悪い車には乗りたくなかった。
そんな僕らも気づけば中年です。
車選びの基準は、ラクに運転できるか、家族を乗せるために安全で快適か。いつの間にか、そんな基準で選ぶようになっていました。
でも、それで良いのか…そんな気持ちがムクムクと湧き上がってくる。このまま、終わって良いのか…世間の目を気にして、世間体を気にして、無難な車を選んでいて良いのか…。というか、もう、楽しめる車を買えるのは、最後かもしれない。
やっぱり、楽しい車に乗りたい。
そんな欲望が湧いてくる。でも、40代・50代になると、車に求めるものが変わる。若いときとは、ちょっと違ってくる。
なんというか、扱いきれないパワーや速さより、気持ちがいいほうが良い。他人からどう見えるかより、自分が楽しめるか。流行りより、感情…。
なぜ僕はNAロードスターを選んだのか

快適で安全で楽しい車なら、NDロードスターのほうが上です。
NDロードスターは完成度が高い。でもNAロードスターには、少し古い時代の空気感というか、隙のような魅力がある。小さくて、軽くて、少し頼りない。でも、その不完全さが妙に人間っぽく感じます。
さらに、パワーを求めている訳でも、快適性を求めている訳でもありません。僕が求めたのは、体験というか『思い出』です。
いつか、あのときは楽しかったなと思えるような経験です。そのためには、やっぱり不便で、手間がかかるほうが、絶対に良い。
NAロードスターは、その感覚に妙に刺さる。
現代の車のように、便利でもないし、快適でもないし、静かでもない。でも、ハンドルを握ると「ちゃんと運転している感覚」がある。
今の基準で見れば、NAロードスターは決して速い車ではありません。むしろ、最近の軽のターボ車の方が速く感じる場面もあります。
でも、不思議と不満はない。
速さより気持ちよさで走る車だからです。
ぶっちゃけた話、中年男性がNAロードスターに惹かれる理由って、緊張感ではなくて、頑張らなくて良い雰囲気というか、速そうだけど、速く走る必要のない車なんだと思う。
40代でNAロードスターに乗るのは痛いのか

いい歳したおじさんが、スポーツカーに乗っていると少し痛いと思われているかもしれません。それも、オープンにして、ニヤニヤしながら運転している姿を想像すると、正直、恐怖です。
少なくとも、僕は購入する前にそう感じていました。でも、一人でニヤニヤしながら5年くらい乗っていますが、誰からも「キモい」とか言われたことはありません。
確かに、仲の良い人たちには「いい歳して〜」とか「またバカやって…」とか、揶揄われることはあります。でも、僕の主観ですが、内心は「羨ましい」と思っています。
たぶん、中年男性の多くは心のどこかで、NAロードスターみたいな車に惹かれているんだと思います。ただ、多くの人は「家族が…」「今さら…」「恥ずかしいし…」と、自分を納得させてようとしている。
だから、実際に乗っている人を見ると、少し羨ましく見えるんだと思う。個人的な見解ですが…。
NAロードスターは不便。でもそこがいい
誤解のないようにお伝えしておくと、NAロードスターは不便です。
30年以上前の車なので快適性は低い。というか、発売当時から快適性なんて度外視している車だと思います。
なので、夏は暑いし、冬は寒いし、うるさいし、狭いし、荷物も積めません。さらに、僕の場合、マニュアルなので、渋滞にハマると地獄です。
AT車のSUVの方が圧倒的にラク。これは間違いありません。快適性でいれば、最近の軽自動車のほうが圧倒的に良い。
正直、「合理性」で選ぶ車ではありません。でも、不思議なことに運転するのが楽しい。圧倒的に楽しい。
どんなに仕事で疲れても、休日の朝になると「ちょっとだけ乗るか」と思ってしまう。
今の車は、快適すぎて「移動の道具」になっている気がするんです。
でもNAロードスターは違います。運転すること自体が楽しい。
この感覚は、90年代、2000年代の車に乗ったことのある中年男性には懐かしい感覚です。
屋根を開けると、中年男性の脳が少しだけ回復する

オープンカーって、恥ずかしいと思っている人が多数だと思います。でも、屋根を開けると価値観が変わります。
春の夜風。夏の海沿い。秋の少し冷たい空気。季節の匂いや温度が、そのまま身体に入ってくる感覚。これを知ってしまうと、屋根を閉めるのがもったいなくなります。
仕事、家庭、人間関係、老後…40代・50代は、いつも、何かに不安を感じている年代です。でもNAロードスターで屋根を開けて走ると、一瞬だけだけど、全部忘れられる。
何というか「人間」に戻れる感覚がある。非日常感というか、普段の生活とは全然ちがう経験みたいな感じです。
ちなみにですが、夕方になり、リトラクタブルライトを開ける瞬間は、なぜかニコニコしてしまいます。
40代・50代でもNAロードスターは維持できるのか

これは結構、気になると思います。
僕の場合、通常の維持費だけで見れば、現代の車と大きく変わらない感覚です。確かに、リッター10km程度の燃費なので、乗り回す場合は、ハイブリッド車より少しだけガソリン代が上がるかもしれません。
さらに、古い車なので、故障はあります。
僕は、5年間で約20万円ちょっとの修理費が掛かっています。加えて、エアコンは壊れているし、雨漏りもしています。
それでも走ること自体が嫌になるほどではありません。むしろ「まあ、古い車だしな」と笑える範囲です。
製造から30年以上経っているけど、マツダがNAロードスターのレストアサービスや部品供給を続けているので、同年代の他の車種に比べると維持しやすいと思います。
もちろん、何も気にせず乗れる現代車のようにはいきません。でも、その手間も含めて「趣味車」と割り切る必要はあります。
中年男性だからこそ、NAロードスターがちょうどいい

正直、20代の頃は、少し物足りなかった気がします。周りにいたもっと速くて、かっこいい車に乗っていた人たちが羨ましかった。
でも40代になった今は、頑張りすぎていない。でも、ちゃんと楽しいというロードスターがちょうどいいんです。
NAロードスターって、人生に少し疲れた中年男性に、妙にフィットする気がする。
たぶんNAロードスターは、便利な車が欲しい人には向いていません。でも、もう一度「車って楽しい」と思いたい中年男性には、かなり刺さる車です。
40代・50代でNAロードスターを買って後悔したか
僕は後悔していません。確かに、不便です。維持費も掛かるし、古い車なので手も掛かる。
でも、中年になってから「心が動く趣味」を持てたことの方が大きかった。
僕が思うに、人間って合理性だけでは生きられないんです。
特に僕たち40代・50代は、仕事や家庭を優先して、自分の欲望を後回しにし続けた世代だと思う。だから、少しくらい自分のために生きても良いと思う。
NAロードスターは、決して便利な車ではありません。速くもないし、快適でもない。現代の車と比べれば、不便なところばかりです。
でも、だからこそ記憶に残る。
屋根を開けて走った夜の空気とか、無意味に遠回りした帰り道とか、リトラクタブルライトを開けた瞬間の妙な高揚感とか…。そういう、小さな体験が積み重なっていく。
40代・50代になった今だからこそ、NAロードスターの楽しさが分かるんだと僕は思う。



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